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会議の議事録。機械的に収容人数を算定するよう他県に求めた茨城県担当者の発言が記載されている
避難所の面積を2で割って機械的に算定していいのでしょうか――。体育館のトイレや玄関ロビー、倉庫など避難場所になり得ない「非居住スペース」を除外せず、収容人数が過大算定されていた日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の事故に備えた広域避難計画。「1人当たりのスペースは2平方メートル」との基準を示し、収容人数を機械的に算定するよう求めた茨城県に対し、避難者を受け入れる近隣県の担当者は疑問を投げかけていた。しかし、茨城県側は機械的な算定方針を押し通した。毎日新聞が入手した会議の議事録で判明した。【日野行介/デジタル報道センター】
◇会議の議事録入手
東海第2原発の広域避難計画を巡っては、原発の半径30キロ圏内の住民約94万人を受け入れる自治体のうち、茨城県内15市町村の避難所に過大算定があり、現段階で避難所不足は2万人分を超えることが毎日新聞の取材で判明。さらに福島を除く近隣4県(栃木、千葉、群馬、埼玉)にも過大算定の自治体があることが明らかになっている。過大算定問題の根底には、実効性を度外視した姿勢があることが鮮明になった。
会議は2014年9月26日、原子力規制庁で開かれた「東海第2発電所ワーキングチーム第2回会合」。東京電力福島第1原発事故後、避難計画の対象が原発の30キロ圏内に拡大されたのを受け、茨城県原子力安全対策課長や、避難者を受け入れる近隣5県(福島、栃木、千葉、群馬、埼玉)の防災担当ディオール tシャツ 当者、国からは内閣府の担当者らが出席した。毎日新聞は情報公開請求で議事録を入手した。
議事録によると、茨城県の担当者が会議の冒頭、「1人当たり2平方メートル」の基準で県内避難所の収容人数を算定し、避難先の市町村を割り振ったことを説明。県内の収容人数は44万3000人が上限のため、30キロ圏内の人口約96万人(当時)のうち、残る51万7000人は近隣5県で受け入れるよう要請した。
茨城県の担当者はさらに、茨城県内で使った調査票を「見本」として各県に配布し、「数字を足し上げて面積を出し、単純に2で割って収容人数を出してほしい」と、体育館など避難所として使用できそうな施設の面積を県内の市町村に照会するよう求めた。
◇茨城県「今のところ機械的に」
茨城県の担当者の説明が終わり、質疑応答に入った。内閣府の担当者が出席者に発言を促すと、群馬県の担当者は「(避難所の)面積を2で割って機械的に出した収容人数と、実際に受け入れられる人数は別物。どちらを算定するのか」と、茨城県の方針を問いただした。茨城県の担当者は「今のところ機械的にマックスで出す収容人数で考えている」と答えた。
埼玉県の担当者も「(機械的に出した)収容可能人数が1000人でも、校庭が狭くて50人分しか駐車場が確保できない場合はどうするのか」と質問したが、茨城県と内閣府の担当者は「駐車場の問題は今後協議する」としたうえで、とにかく避難所の面積を調べ、機械的に収容人数を算定するよう求めた。
バーバリー tシャツ メンズ 議では、茨城県が配布した調査票について、各県から「様式が細かすぎて、市町村のマンパワーでは対応できない」と簡素化を求める意見が出た。この意見を反映してか、その後、福島を除く4県で使われた調査票は、避難所ごとの収容可能面積を計算ソフトに入力すると、2で割って収容人数が自動算定される様式に簡素化された。
会議の最後に、茨城県の原子力安全対策課長は「今年度末までに茨城県の避難計画を策定したい」と述べ、「スケジュールがタイトな中、無理なお願いをするかもしれないが、協力をお願いしたい」と避難所調査の早期実施を求めた。その言葉通り、茨城県は15年3月、30キロ圏内の市町村の避難計画の大枠となる計画を策定した。
◇専門家「事故起きない前提で策定」
毎日新聞の取材に対し、当時の茨城県原子力安全対策課長は「まずは各県のキャパ(収容人数)がどれだけあるかをつかみ、その後議論して整理していくイメージだった。福島県は別として、他の県は原発がなく、困惑している様子だったので、いきなり突っ込んだお願いはできないと考えた」と話した。
こうした茨城県の姿勢について、原発避難計画に詳しい広瀬弘忠?東京女子大名誉教授(災害リスク学)は「不正確で過大になると知りつつ収容人数を算定していたのは明らかだ」としたうえで、「避難計画を策定しなければ原発は再稼働できない。再稼働を進めたい国の意図をくんで、一応の体裁を整えれば事足りると思っているのだろう。事故に備えた計画なのに、事故が起きない前提で策定している」と批判した。